飲食店の消費税

 飲食店を開業したら、納めなければいけない税金のひとつ、消費税についての話です。

 飲食店では、仕入れ業者から仕入れる食材、スーパーで買う食材、トイレットペーパーやボールペンなどの備品を買うときに消費税がかかりますよね。自分が買う(消費する)時は、消費税を払う(預ける)側です。

 ですが、自分の飲食店でお客さんからお代をいただく側からみると、消費税を貰う(預かる)事になります。

 普段、買い物で払っている消費税はお店に払っているのではありません。お店に消費税を預けているのです。お店はこの預かった消費税を税務署に納めなくてはいけないのです。



消費税を免除される飲食店、納める飲食店

 消費税は、しっかり納めなくちゃいけない飲食店と納めなくていい飲食店があります。このブログは「個人経営の小さなお店の始め方」なので、個人事業主について(会社じゃなくて)書きます。
 

 【消費税を納めなくちゃいけない飲食店(課税事業者)】

 前々年(2年前)の課税売上高が1000万円を超える飲食店

 【消費税を納めなくていい飲食店(免税事業者)】

 前々年(2年前)の課税売上高が1000万円より少ない飲食店

※課税売上高=売上高と考えて良いです。⇒課税売上高

 課税売上高が1000万円を超えなければ、消費税は納めなくていいというのが基本になっています。

 個人経営の小さな飲食店の場合、確定申告する時に、その年の課税売上高が1000万円を超えていたら、税務署に「課税事業者届出書」を提出して、確定申告をした次の年の事業所得(売上が1000万円を超えた次の次の年)から消費税を納めることになります。

 その基本に加えまして、もうちょっと売上が多いといいますか規模が大きい事業者は、2年後からじゃなくて、次の年から消費税を納めてもらいますというルールがあります。

 これも個人事業主について書きますと、「1月1日から6月30日の半年間の間に課税売上高もしくは給与等支払額のどちらか低い方が1000万円を超えると、翌年から消費税を払う課税事業者になる」というものです。

 普通に考えて「売上高」を「支払う給料」が超えることはありません。なので、どちらか低い方ってなると「支払う給料」になります。個人事業の場合、自分は給料をもらいませんから、半年で1000万円以上の給料を払う飲食店って結構な規模です。というか法人(会社)にした方がいいんじゃないかという気がしますが。

 1月1日から6月30日の間に支払った給料が1000万円を超えたら税務署に「課税事業者届出書」を出して、翌年から消費税を納めます。

 小さな飲食店の場合、ざっくり言いますと課税売上高が1000万円を超えた年の2年後は消費税を払うということです。

 それ以後、課税売上高が1000万円を毎年超えるようであれば、2年後からずっと消費税を納めていくことになります。が、1000万円を下回ったら、その2年後は消費税を納めなくて良い免税事業者になります。



消費税の計算、原則課税方式と簡易課税方式

消費税の簡易課税方式

 小さな飲食店の売上が1000万円を超えると2年後から消費税の納税義務が出てきます。では実際に納める消費税の計算の仕方について。

原則課税方式

 料理を作る材料を仕入れるときに消費税を払い(預け)ます。今度は自分の飲食店で、お客さんからお金を頂戴する時に、また消費税をお客さんから預かるということになります。

となると、消費税があっちこっちで発生してしまうので、

お客さんから預かった消費税 ー 仕入れで支払った(預けた)消費税

=税務署に納める消費税

となっています。

 消費税を8%の場合、108円(トマト自体100円、消費税8円)でトマト一個を買ってきて、お店で冷やしトマトとして540円(冷やしトマト500円、消費税40円)で売ったとすると、

冷やしトマトで預かった消費税が40円 ー トマトを買った時に払った消費税8円 = 32円

 32円が納める消費税の金額になります。

 これは、自分でお客さんから預かった消費税を計算して、経費にかかった消費税を計算してその差額が納める額になります。これを原則課税方式と言います。

簡易課税方式

 原則課税方式に対して、原則じゃない方式の計算の仕方もあります。それが簡易課税方式です。

 簡易課税方式というのは、預かった消費税に一定の率を掛けて計算した額が納める消費税になる、というものです。で、この「一定の率」は「みなし仕入率」と呼ばれていて、業種によってその%が違います。

 こんな感じです。

【みなし仕入率】
第1種事業 卸売業              90%
第2種事業 小売業              80%
第3種事業 製造業・建設業・農業等      70%
第4種事業 飲食店業・金融保険業       60%
第5種事業 不動産業・運輸通信業・サービス業 50%

 飲食店は第4種事業なので、みなし仕入率は60%ということになります。

 計算式にすると

お客さんから預かった消費税ー(お客さんから預かった消費税×60%)
=税務署に納める消費税
となります。

 お客さんから預かった消費税のうち40%が納める消費税になります。

 経理的な手間としては「簡易課税方式」の方が楽です。が小さな飲食店の場合、「原則課税方式」で計算するのもそれほど大変ではないと思いますが、原価率が30%を超えているような飲食店なら、手間を考えても簡易課税方式を選択するでいいと思います。

簡易課税方式の注意点

 経理上の手間がかからない「簡易課税方式」ですが、気をつけなければいけないいくつかの注意点があるので箇条書きにしてみました。

 ▶「簡易課税方式」を選択できるのは課税売上高が5000万円以下の事業者であること。

 ▶「簡易課税方式」を選択したら2年間は簡易課税方式で消費税を計算しなければなりません。

 ▶「簡易課税方式」を選択すると、大きな設備投資などで大きな額の消費税を支払ったとしても還付されません

 なので、大きな設備投資を考えているなら、原則課税方式でないと余計に消費税を納めることになるので、気をつけましょう。

 結構、多くのサイトで「原則課税方式」は中小事業者には大変過ぎるって書いてあるのですが、会計ソフトを入れていれば、小さな飲食店の場合、大変ではありません。ので、一度「原則課税方式」で算出してみるといいと思います。

 それとは逆に、めっちゃ原価低くやっている飲食店なら「簡易課税方式」の方がお得になることもあります。どちらが得になるかは会計ソフトを使って、どちらも計算してみてください。

 消費税の申告には会計ソフトfreee(フリー)を使うとやりやすいと思います。 会計ソフトについてはこちらに詳しく書いています。

 飲食店を開業する前や、開業しちゃってからも初めての帳簿や確定申告がちゃんとできるか、不安な人も多いと思います。  ここで紹介している会計ソフトを使えば、飲食店の