日本政策金融公庫の融資制度

 個人が飲食店の開業資金を調達するのに利用しやすい政府系の金融機関、日本政策金融公庫にはいろいろな融資制度があります。たくさんの融資制度の中から飲食店を開業する時に利用できる融資制度についてまとめました。



飲食店開業に利用できる融資制度

 飲食店を開業するための資金の融資制度には次のようなものがあります。

生活衛生貸付
新規開業資金
女性、若者/シニア起業家支援資金
新創業融資制度
中小企業経営力強化資金(専門家支援付融資)

据置期間(すえおききかん)とは、事業が軌道に乗るまでの間、元金の返済をせず、金利のみの返済にしてもらえる期間のことです




生活衛生貸付の金利や条件

 生活衛生貸付という融資制度は、飲食店や喫茶店、お肉屋さん、床屋、美容室、旅館、公衆浴場など生活衛生関係の事業が対象の融資制度です。飲食店を開業する時に利用するのは生活衛生貸付の中の一般貸付です。

 基本的には保証人、担保が必要で、融資額が500万円以上の場合は都道府県知事の「推せん書」が必要になります。
 勤務経験の条件などがないので、飲食業界の経験が少ない人や浅い人でも利用することが出来る融資制度です。

生活衛生貸付 一般貸付

融資限度額7200万円
返済期間
(うち据置期間)
13年以内(1年以内、返済期間が7年超の場合2年以内)
保証人・担保必要
利率(年)1.16〜2.35%(平成29年3月10日現在)

※利率は使いみち、返済期間、担保の有無などによって変わってきます

生活衛生貸付に必要な都道府県知事の推薦書とは

 生活衛生貸付で500万円以上の融資を申請する場合は、都道府県知事の推せん書が必要になります。都道府県知事の推せん書は各都道府県の生活衛生営業指導センターに必要な書類をそろえて推せん書の交付申請をすると貰えます。

 必要な書類は、推薦書交付願、借入申込書、創業計画書、店舗の契約書、内装工事の見積書、店舗の平面図です。この書類は推薦書と一緒に返ってくるので、日本政策金融公庫に提出するもので大丈夫です。

 私の経験では提出して、書類の間違いを直してもらってすぐに推薦書を貰えましたが、地域によっては時間がかかることもあるようです。

各都道府県の生活衛生営業指導センター

新規開業資金の金利や条件

 新規開業資金は、今現在働いている仕事と同じ職種の事業を始める人のための融資制度です。飲食業の同じ会社に6年以上勤めている、働く会社は変わっても飲食業で通算6年以上働いている人が対象となります。

 その条件に当てはまらなくても、技術やサービス等に工夫を加え多様なニーズに対応する事業を始める、雇用の創出を伴う事業を始める、などの条件があり、そのうちのどれかを満たしていれば申請できます。

 基本的に保証人、担保が必要です。

新規開業資金

融資限度額7200万円(うち運転資金4800万円)
返済期間
(うち据置期間)
設備資金は20年以内(2年以内)
運転資金は7年以内(2年以内)
保証人・担保必要
利率(年)1.16〜2.35%(平成29年3月10日現在)

 ※利率は使いみち、返済期間、担保の有無などによって変わってきます

女性、若者/シニア起業家支援資金の金利や条件

 女性、若者/シニア起業家支援資金は、名前の通りですが、女性または30歳未満か55歳以上の人が対象の融資制度です。生活衛生貸付、新規開業資金と比べて利率が低く設定されているので、条件に当てはまれば是非活用したい融資制度。
 
 基本的には保証人、担保が必要です。

女性、若者/シニア起業家支援資金

融資限度額7200万円(うち運転資金4800万円)
返済期間
(うち据置期間)
設備資金は20年以内(2年以内)
運転資金は7年以内(2年以内)
保証人・担保必要
利率(年)0.76〜1.95%(平成29年3月10日現在)

※利率は使いみち、返済期間、担保の有無などによって変わってきます

新創業融資制度

 新創業融資制度は、無担保・無保証人で融資を申請できる制度で、上の3つの融資制度と組み合わせて利用することができます。

 無担保・無保証人で融資を受けるためには、飲食業の同じ会社に6年以上勤めている、働く会社は変わっても飲食業で通算6年以上働いている、もしくは雇用を生み出す事業を始めるなどの条件のいずれかを満たし、開業資金の10分の1以上の自己資金を持っている人が対象です。

 【新創業融資制度

融資限度額3000万円(うち運転資金1500万円)
返済期間各融資制度が定める返済期間以内
保証人・担保不要
利率(年)生活衛生貸付+新創業融資制度 2.16〜2.75%
新規開業資金+新創業融資制度 2.16〜2.75%
女性、若者/シニア起業家支援資金+新創業融資制度 1.76〜2.35%
(平成29年3月10日現在)

 ※利率は使いみち、返済期間、担保の有無などによって変わってきます

中小企業経営力強化資金(専門家支援付融資)の金利や条件

 中小企業経営力強化資金専門家支援付融資とも呼ばれ、外部の専門家の指導や助言を受けている人が対象の融資制度です。飲食店の場合、税理士などの外部の専門家を通して融資の申請をするとこの融資制度を利用できます。

 2000万円までの融資なら無担保、無保証人での融資を受けることができます。

中小企業経営力強化資金(専門家支援付融資)

 融資限度額7200万円(うち運転資金4800万円)
 返済期間
(うち据置期間)
設備資金は20年以内(2年以内)
運転資金は7年以内(2年以内)
保証人・担保2000万円までは、無担保・無保証人で利用可能
利率(年)1.71〜2.00%
1.31〜1.60%(女性または30歳未満か55歳以上)
(平成29年3月10日現在)

※利率は使いみち、返済期間、担保の有無などによって変わってきます

 飲食店の開業について書いています。このサイトを運営していることがご縁で、飲食店開業の資金融資のプロにお話を伺ってきました。  飲食店開業の資金融資のプロって何?誰?