個人経営の小さな飲食店を開業するにはをテーマに書いているブログです。
今回は飲食店のメニューの値段、価格の設定のお話です。値段の設定って迷いますよね。どうつけたらいいの?原価の3倍?競合店よりちょっと安く?それとも、同じ価格で内容で勝負?
料理や飲物の価格の設定は、飲食店をビジネスと考えた時に一番重要なところなんじゃないかな、と思います。
もくじ
価格を安く設定することは誰でもできる
私のお気に入りのお蕎麦屋さんがあります。雰囲気のいい店内で、感じのいい年配のご夫婦が丁寧に営んでいるお蕎麦屋さんです。
そのお蕎麦屋さんの価格はザル1枚で1000円ちょっとで、量もそれほど多くありません。必然的にザル2枚、もしくは天ざるにしてそば大盛りくらいにしないとお腹いっぱいになりません。
食べに行くと一人2500円くらいになります。田舎の蕎麦屋さんとしては安くないです。でも、私はそこに食べに行きます。なぜって、そこの雰囲気が好きで、そこのそばが美味しいからです。2500円の価値が十分にあるからです。
知り合いにそこの蕎麦屋を紹介したところ「美味しいけどねー、ちょっとやっぱり高くて量が少ないかなー」と言っていました。
そのお蕎麦屋さんは、私の知る限りそこそこ入っています。2500円を払ってでも、そのお蕎麦屋さんで食べたいというお客さんが食べに来るのです。
もし、このお蕎麦屋さんが価格を下げて、他の近所の蕎麦屋さんと同じくらいの価格にしたらもっともっとお客さんは入ると思います。ですが、客層も変わり、忙しくなりすぎて提供時間もかかるようになり、お店の雰囲気も味も全く変わってしまうかもしれません。
「美味しいけどねー、ちょっとやっぱり高くて量が少ないかなー」という方には申し訳ないですが、価格はそのままにしておいて欲しいです。もちろん私にとってもお昼に2500円のお蕎麦は決して安くはありません。
「お客さんのためになるべく価格を安くして提供したい!」というのは個人経営の小さなお店ではよく言いがち(私はその典型^_^)ですが、安く提供するというのは料理、飲み物、サービスそのものの価値を下げる事にもなります。
必ずしも安い価格で的供することがお客さんのためでもないのです。
安い価格で提供するということは、飲食店側から見ると同じ数の提供数なら売上も低いことになります。お客さんに喜んでもらえるの嬉しいけれど、売上が無くってお店を続けていけないのでは全くお客さんのためではありませんよね。
それと、価格を安く設定するというのは、簡単なことなのです。高く設定すると、お客さんが来ないかもしれない。高く設定するとこの料理が売れないかもしれない。そう考えるのは普通ですよね。
「だから価格を低く設定する」と安直に考えないこと。(完全に自分に言い聞かせている^_^)
値段を高くつけなさい!って言ってるんじゃないんです。ただ、私を始め個人経営の小さな飲食店はなかなか”価格はなるべく安くしたい!!”という呪縛から逃れられないでいることが多いので、書いてみました。
料理や飲物の価格設定で考えたいこと
飲食店のスタイルは本当に色々あって、価格の設定の仕方もそのお店の形によって全然違ってくるところもあると思います。
あくまでも私がということですが、飲食店のメニューの価格を決める時に考えたいことは、原価、お店のスタイル、バランス、客単価、そして高めの設定です。
原価から価格を考える
原価は、そのままですが原材料費が500円かかっているものを600円とか700円とかで売っていては商売が成り立ちませんよね。
家賃だってかかるし、光熱費だって掛ります。一般的には500円が原価なら1500円程度の価格は付けたいところです。これで原価率が33%です。
原価から、価格を考えるのは目安です。このくらいをつけるのがまあ一般的な値段なんだなと。
飲食店の形、雰囲気、客層から価格を決める
そして、お店のスタイル。お店のスタイルというか、雰囲気、客層と言い換えてもいいかもしれません。先ほどのお蕎麦屋さんの2500円のお蕎麦を駅の立ち食いそば屋においても、きっとそう多くの人には受け入れられないでしょう。
同じような料理、商品でも、どのようなお店で提供されているかでその価格の設定は変わってきます。
もっと言えば、たとえ同じモノでも価格が変わってくるのです。例えば、瓶ビール。居酒屋さんとレストラン、ホテルのバー、同じものでも価格は違ってきますよね。
このサイトは個人経営の小さな飲食店について書いているのでホテルのバーっていうのは比較対象としてちょっとアレですが、自分のお店の雰囲気、客層を考えて価格を設定するということも意識しておきたいことのひとつです。
メニューのバランスから価格設定
バランス。これはメニューとメニューとのバランスのことです。
ひとつのメニューは1000円でゴージャスな感じの一皿になっているのに、もう一つのメニューは同じ1000円なのに全く見た目のインパクトがない。となると最初のメニューはよく売れるけど、後の方のメニューはあんまり売れない、もしくはお客さんの反応が明らかに悪い。というようなことになってしまします。
インパクトのない方のメニューは、価格を下げる、量を増やす、盛り付けを考えなおす、もしくは最初の方のメニューの価格を上げるなどの対処をしますよね。
原価が安いもので、見た目も良くて、味も量も満足できるようなものは、原価を無視して他の料理とのバランスを考えて高めに付けていいと思います。逆に原価が高くて、どうやっても見た目も、量も味も、他の料理とのバランスがとれるようなものにならないものは、メニューから思い切って外したほうがいいです。
客単価から価格を考える
そして、客単価。
客単価からメニューの価格を考えるということもあります。客単価3000円くらいを見込んでいる居酒屋なら、1人でビール3杯、料理が3品とすると
ビール 一杯400円×3=1200円
料理 一皿600円×3=1800円
合計 3000円
というふうにビールの一杯の価格、料理の平均の価格を出していきます。もちろん料理の価格はみんな同じじゃないですから、400円、500円、900円の料理で1800円でもいいですよね。
カフェなら、客単価を1000円としたら、
ケーキ各種 800円
コーヒー 400円
ケーキセット 1000円
というような価格の設定の仕方を考えます。
高めの価格設定を今一度考えてみる
最後に、高めの設定です。最初に書いたところに戻ってきます。
原価から導き出したその価格、客単価から辿り着いたその価格は、お店にとってギリギリの価格ではないですか?
”頑張ってなるべく安い価格設定で提供したい”呪縛に縛られていませんか?
この先、長い目で見て食料品の価格は高騰することはあっても、下がることはありません。その分まで見越していますか?
価格は一度設定すると、下げることは簡単にできても、上げることは難しいのです。
さっきも書きましたが、価格を高くしろっってゆーんじゃないんです。
そのあなたのつけた価格は安すぎではないですか?その価格で本当に売りたいのですか?ということも一度考えて欲しいなーと。
それでも安い価格で提供したいんじゃーそれがわいの使命なんじゃーという方は、もちろんそっちの方面で頑張っていただきたいと思います。
とにもかくにも「価格」を決めるっていうのは、飲食店の行く末を左右するほど大事で難しいことなんです。