個人経営の小さな飲食店を開業するにはをテーマに書いています。今回は飲食店の動線についてです。
私のお店は居抜きで、いろんな位置とか幅とかがほぼ決まっていて、動線はなるようにしかならなかったので、お店をはじめる時には動線についてあまり考えなかったのですが、最近、あるお店の立ち上げのお手伝いをしまして、改めて飲食店の動線について考えてみました。
もくじ
動線とは?
動線は”どうせん”と読みます。
動線とは、人が動く線のことです。客席であれば、お客さんが入り口から入ってきて、客席に座る。たまにトイレに行ったりする。食事を終えて、お会計をして、帰って行く。という一連の流れで人が通る所をつないだ線のことです。これを客動線と言います。客動線に対して、お店の人が動く所をつなげた線のことをサービス動線と言います。
飲食店の内装や厨房の設計をするにあたってするにあたって、この客動線、サービス動線について考えることはとても大事です。
店舗設計と動線
人がすれ違えるのに、十分な幅というのは120cmと言われています。1m20cm。なので、入り口から客席まで、客席からトイレまで、キッチンの中から客席まで、の全ての通り道が120cmの幅を確保できれば、それはそれでスムーズな人の行き来ができます。
また、料理などを手に持って通る所は80cmくらいあるとストレスなく通れます。
が、個人経営の小さな飲食店にはまったくもって見合わない数字ですね。
動線をどうするか?を考える時にまず押さえておきたいのは、動線がなるべく交差しない事と動線をなるべく短くする事です。
動線を交差しないようにするとは
「動線が交差しない」というのは、お客さんとお客さん、お客さんとお店のスタッフ、お店のスタッフとお店のスタッフがなるべくすれ違わなくていいようにする、ということです。
とはいっても客席ではお客さんは好きなように通って、客席に座り、トイレに行き、お会計をして帰って行きます。ので、そこのメインの通りはできれば120cmという幅の通路を確保しておきたいところです。
そして、キッチンカウンターの中からお料理を出したり、カウンターの中に空いたお皿を下げたりする場合は、カウンターの両側を出入りできるようにして一方向に回るようにしておくと、カウンター内が60cmの幅でもストレスが少なくてすみます。
動線を短くするとは
「動線を短くする」は例えば、キッチンから受け取ったお料理を運ぶのに、ぐるーっと長いカウンターを回って行き、お皿を下げる時もぐるっとカウンターを回らないとお皿の下げ場に行けないようなつくりにしないと言う事です。
とくに少ない人数のキッチンでは、冷蔵庫、冷凍庫、流しなどいろんな所に数歩でいけるような配置にしておくと非常に作業効率がよくなります。時にはそこからレジに行ったりということもあるでしょう。距離を近くしておくとストレスが減ります。
もちろん、それなりの幅は確保して動きやすさも同時に考えなくてはいけません。人が一人で作業する所では60cmくらいの幅がほしい所です。
小さなの飲食店の動線
と、ここまで飲食店の動線について書いてきましたが、正直、個人経営の小さなお店の場合、120cmだー、80cmだーという理想の幅を取る事は難しい事が多いです。
ですが、キッチンを仕方なく狭くして、体くねらせながら多くのストレスを抱えて毎日仕事をすることは、非常に危険です。体を壊してしまいます。だからこそ、うまーいこと動線を考えるのは、お客さんにとっても、お店で働く人にとっても大事なことなのです。
設計のプロの力を借りて、飲食店を設計する段階から、動線についても考えていきたいですね。都心で小さなお店だけど席数はけっこうある、というお店のお手伝いをしてそんなことを思いました。