飲食店に限りませんが、個人事業主であっても法人(会社)であっても事業を始めたら、ビジネスカードを持っておくべきだと思います。
ビジネスカードとはお仕事専用の事業用クレジットカードのことです。
ビジネスカードは法人カードとも呼ばれていますが、ここでは個人事業主であっても法人(会社)であっても事業の支払いに使うクレジットカードのことをビジネスカードと呼ぶことにします。
ビジネスカード・法人カードと呼ばれているクレジットカードには、法人でないと作ることができないカードもありますが、実際には個人事業主でも作ることができるビジネスカード・法人カードも多くあります。具体的なビジネスカードの紹介は最後にしています。
個人事業主の場合はビジネスカードと言っても、プライベートで使うクレジットカードとビジネス(飲食店の仕入れや経費の支払い)に使うクレジットカードを分けておくだけです。
法人化(会社)している場合は、仕事の仕入れや経費の支払いに個人名義のクレジットカードを使うのは、規約違反になってしまうことが多いのでいわゆるビジネスカード・法人カードが必要になります。
ビジネスカードを持つ大きなメリットはこの2つです。
飲食店を開業する時、開業して営業していく上でかかる様々な支払いや、買い物をビジネスカードで支払うことでポイントが貯まります。
もう一つは、ビジネスカードを会計ソフトと連携することで確定申告に必要な帳簿付けの作業がかなり楽になることです。
飲食店を開業、経営していくなら必須のビジネスカードについて、ビジネスカードのメリットについて解説していきます。
もくじ
クレジットカードのそもそもな話
まずはクレジットカードのそもそもな話をします。クレジットカード持っているよ。使っているよ。
という人は読み飛ばしてください。⇒クレジットカードで払える経費
クレジットカード払いと現金払いは同じ金額
クレジットカードを持ったこと、使ったことのない人の中にはクレジットカードで支払うと金利とか手数料とか余計にお金がかかるんじゃないの?と思っている方も少なからずいるんじゃないかと。(私がそうだったので^^;)
クレジットカードは「一回払い」なら、現金で払うのとまったく同じ金額です。手数料も金利もかかりません。
「分割払い(2回払いとか10回払とか何回かに分けて支払う方法)」や「リボ払い(毎月1万円づつ払うというように毎月の支払いの上限を決めて支払う方法)」にすると、金利がかかってきます。特にリボ払いはかなりの金利がつくので、気をつけてください。
私はクレジットカードを使うようになって十数年経ちますが、「一回払い」以外で払ったことがありません。ので、一度も金利を支払ったことがありません。現金で払うのと同じ額しか払ったことがありません。
クレジットカードの年会費っていくら?
クレジットカードが「一回払い」なら現金と同じ金額なのは分かった。でも、クレジットカード自体の年会費ってかかるんでしょう?いくらくらいかかるの?
答えは「年会費は一切かかりません」というクレジットカードから年に数千円、ゴールドカードなどランクの高いクレジットカードになると数万円くらいかかるものまであります。
年会費がずっと無料というクレジットカードはたくさんあります。そして、クレジットカードで買い物をするという機能だけを見れば、年会費無料のクレジットカードも年会費が数万円するクレジットカードも同じです。
じゃあ、有料と無料のクレジットカードって何が違うの?
一つはクレジットカードに付いているサービスが違います。例えば海外旅行に行くときの傷害保険が付いていたり、空港の専用ラウンジが使えたりといったサービスを受けられるのが有料のクレジットカードです。更にランクの高い(年会費も高い)クレジットカードになるとコンシェルジュ(お世話係)がついて、航空券や旅行の手配やコンサートやスポーツ観戦などのチケットの手配、レストランの予約、プレゼントの手配などなどをしてくます。
有料には有料のクレジットカードの良さがあります。ゴールドカードやプラチナカードは持っているだけでステータスにもなりますし、事業用のクレジットカードの年会費は経費にできます。
もう一つはポイント還元率が違います。海外旅行も行かないしステータスとか必要ない!という人でもポイント還元率についてはちょっと気にしてクレジットカードを選んでみてください。ポイント還元率については次に続きます。
クレジットカードのポイント還元率って何?
クレジットカードで買い物や支払いをするとポイントが付きます。もちろん「一回払い」でもポイントが付きます。
貯まったポイントは、商品券や楽天ポイントやTポイントなどに交換して好きなものを買うことができます。(交換しなくてももともと楽天ポイントやTポイントが貯まるカードもあります)
よく使うポイントに交換できるかどうかというのもクレジットカードを選ぶ上で結構重要です。
このポイント還元率(いくら使うと何ポイントもらえるのかの割合)は、クレジットカードによってまちまちです。年会費が無料のクレジットカードの場合、0.5%~1%くらいのポイント還元率になっています。
これが年会費が有料のクレジットカードになると、さらに0.5%~1%ほどポイント還元率が高くなります(クレジットカードによります)。
クレジットカードで10000円分の買い物をしたら100ポイントもらえるクレジットカードのポイント還元率は1%ということです。
なんだよ、クレジットカードのポイント還元ってそれっぽっちかよ。と思われた方もいるかもしれませんね。ポイント還元率を数字で見ると1%とか1.5%という微々たる数字ですが、小さな飲食店でも結構かかる年間の費用をクレジットカード払いにすると結構お得です。
仮に月々のクレジットカードの支払いが30万円だとしたら、年間で360万円を支払うことになります。年会費無料のクレジットカードの中でポイント還元率が高い1%のクレジットカードで支払ったとすると、360万円の1%、36000円分のポイントがもらえることになります。
それがさらに有料のクレジットカードでポイント還元率が0.5%プラスされると、更に18000円分のポイントが貰えることになります。なので年会費が1万円くらいのクレジットカードなら年会費がかかっても有料のクレジットカードのほうが得することになります。(ビジネスカードは有料ですがポイント還元率は高くありません)
必ずしも年会費無料のクレジットカードが安くてお得というわけではないのがクレジットカードです。
で、飲食店をやっていると具体的にどんなものにお金がかかるの?それはクレジットカードで払えるの?ということを次でまとめました。
飲食店などの個人事業でクレジットカードで払える経費
飲食店を開業する時に支払う店舗物件取得費用や、内装の施工業者に払う工事費などは基本的にカード払いはできません。が、飲食店をはじめる時や開業してから支払う多くの費用をクレジットカードで支払うことができます。
飲食店で使う厨房機器、什器、備品など
飲食店を開業する前には様々なものを買い揃えますよね。
お皿、カトラリー、箸、紙ナプキン、まな板や鍋類、バットやボール、電子レンジやフードプロセッサーといった厨房器具などなど上げればキリがありません。
お店の確定申告やブログSNSで発信するためのカメラやパソコン、セロハンテープやボールペン、領収書といった事務用品から料理の本までお店に必要なものの多くがクレジットカード払いで買うことができます。ネットショップはもちろん、多くの店舗でもクレジットカードは使えます。
飲食店の仕入れ
業者が運んできてくれる食材の仕入れの支払いは、殆どの場合クレジットカードを使うことはできません。
でも、小さな飲食店では、自分で近所のスーパーに食材を買い出しに行くことも珍しくありませんよね。そして多くのスーパーではクレジットカードが使えます。
郊外のお店でスーパーまで車で行くのであれば、ガソリン代も事業用のクレジットーカードで払います。
電気・ガス・水道料金
意外と盲点ですが、電気ガス水道といった光熱費もクレジットカード払いすることができます。
電気料金
電気は東京ガスなどの大手の電気会社はもちろん、電力自由化以降の新しい電力会社などにしてもクレジットカードで支払えるところがほとんどです。
ガス料金
ガスも大手のガス会社ならクレジットカード出払うことができます。私のお店はプロパンガスだったのでクレジットカードでは払えませんでした。都市ガスが来ていない地域でプロパンガスの場合はクレジットカード払いができないケースも多いです。
水道料金
水道は、ここ最近都心を中心に少しずつクレジットカード払いができる地域がでてきました。私のお店は田舎だったのでクレジットカード払いができませんでした。
光熱費は、毎月毎月かかるものなので、クレジットカード払いできるならクレジットカード払いにしておくと結構なポイントが貯まりますね。
携帯電話代
仕事で使っている携帯電話料金は、経費になるので事業用のクレジットカードで支払うことをおすすめします。
個人用の電話と仕事用の電話が別れていない場合でも、按分(あんぶん)といって携帯電話を「仕事」と「プライベート」の使う割合で計算して経費に入れることができます。
按分は、会計ソフトなどで後から設定できるので、仕事にも使っているのであれば携帯電話料金も事業用のクレジットカードで支払っておきます。
プロバイダー料金
インターネットを使うプロバイダー料金です。私は固定電話とプロバイダー料金が一緒になっているのでそれを事業用のクレジットカードで支払っています。
国民年金保険料
飲食店を法人化(会社)していないのであれば、個人事業主で国民年金の保険料を払わなければいけません。この国民年金保険料もクレジットカード払いができます。
年間で20万円を超えるのでクレジットカード払いにしておかないのもったいないです。
生命保険料、医療保険料、損害保険料
クレジットカード払いできる保険はクレジットカード払いしておきましょう。生命保険や医療保険、損害保険(自動車保険とか)といった保険料も同じ保険料を払うならポイントつけたいです。
事業用のクレジットカードの年会費
事業用のクレジットカード・ビジネスカードの年会費は経費にすることができます。
こんなにたくさんの経費をクレジットカード・ビジネスカードで払えるですから、かなりのポイントが貯まりますし、ビジネスカードを持たない理由が見当たりません。
事業用クレジットカードを作るメリット
ここまでクレジットカードを使うとポイントが貯まるよ、固定費なんかをクレジットカード払いにしておけば勝手にポイントどんどん貯まるよ。ということを説明してきました。
が、これはビジネスカードではなく、単にクレジットカードのメリットです。
個人で使うクレジットカードとは別にビジネスカードを作っておくことで、もう一つのメリットがあります。
飲食店を経営するのにかかった費用を常にビジネスカードで支払うようにしておくと、帳簿付け、確定申告の作業が格段に楽になるのです。
クラウドの会計ソフトとビジネスカードや銀行口座をつなげておくと、どんどん勝手に仕訳して記入してくれます(確認作業は必要です)。
毎月毎月支払うスーパーで買った食材や光熱費や、携帯料金、プロバイダー料金、国民年金などなど、ビジネスカードで支払ったものは全部、会計ソフトに自動で取り込んでくれるのです。自分で入力する数字が格段に減るのはもちろん、数字の入力間違いもなくなります。
帳簿付けや確定申告をこれまでしたことのない人には伝わりづらいかもしれませんが、正直、ポイントが付かなくてもこのためだけでもビジネスカードを作ったほうがいい!というくらいおすすめです。
ビジネスカードがあると、帳簿付けや確定申告が楽になる!はこちらの飲食店におすすめな会計ソフトの記事を参考にしてください。
事業用の銀行口座を開設する
ビジネスカードを作るなら、事業専用の銀行口座も作っておくことをおすすめします。せっかくビジネスカードを作っても、プライベートのクレジットカードと同じ銀行からの引落しになっていては、会計ソフトを使って帳簿付け、確定申告の作業が格段に楽に楽になるというメリットの効果が半減してしまします。
というわけで、ビジネスカードを作る前に事業用の銀行口座を開設しておく必要があります。
今の時点で2つの銀行口座を持っているならば、そのどちらかを事業用にすればOKです。
事業用の銀行口座はどこでも大丈夫ですが、私はビジネスカードとして楽天カードを使っているので、銀行口座も楽天銀行を使っています。
楽天銀行ならネットから簡単に口座を開設できますし、楽天ポイントを振込の手数料に使えたり、ATM手数料が月最大7回まで無料になったり、振込手数料も最大月3回まで無料になったりとお得なことも多いので長年使っています。
楽天銀行に限らずですが、個人事業主が普通のクレジットカード(法人カードではなく)を事業用として使う場合は、個人名義の口座からしか引き落としができない(お店の名前などの口座からは引き落とせません)ので、個人の名前で口座を開設してください。
楽天銀行の詳細については公式サイトで見ることができます。
公式サイトはこちら⇒楽天銀行
ビジネスカードにおすすめな年会費無料のクレジットカード
個人事業主で小さな飲食店であれば、普通の個人用のクレジットカードを2枚作って、こっちはプライベートな出費用、こっちはお店に必要な費用を払う用と決めて使うだけでOKです。
法人化(会社)している場合は、個人のクレジットカードでの経費の支払いは認められていない場合が多いので、法人カードを選ぶ必要があります。(法人カードについては後述)
ビジネスカードとしておすすめの、年会費無料のクレジットカードを紹介します。
楽天カード
楽天カードは、日本で一番使われているクレジットカードです。なぜ一番使われるようになったのかは、
楽天カードのポイントは当たり前ですが、楽天ポイントで貯まります。
楽天では、業務用冷蔵庫からガス台、製氷機、椅子やテーブルといった大物から掃除道具やユニフォーム、伝票にいたるまで飲食店に必要なあらゆるものを買うことができます。楽天で買えない物はほとんどないといっても過言ではありません。
しかも貯まったポイントはネットの楽天で使えるだけでなく、楽天Edyや楽天payといった電子マネーとしても使えるので、コンビニやスーパー、ドラッグストアなどのたくさんのリアルな店舗でも使うことができます。もうほとんど現金と同じ感覚です。
多くの人に選ばれている小さな飲食店の個人事業主の最初の一枚に最適なクレジットカードです。
Amazonカード
Amazonのクレジットカードです。Amazonでの買い物ならなら1.5%還元、さらにAmazonプライムの会員なら、Amazonでの買い物が2%還元されます。楽天よりAmazonでかいものをすることが多い人は、Amazonカードがお得で使いやすいです。
Amazonカードは、もちろんAmazonポイントでの還元なのでこちらも使いやすい。
個人事業主、法人におすすめなビジネスカード
個人事業主であれば個人のクレジットカードをビジネスカードとして使うこともできるのですが、法人化(会社)している場合は、それが認められていません。
法人化(会社)している飲食店の場合は、事業専用のクレジットカードとして、一般的にビジネスカード、法人カードと呼ばれるクレジットカードを選択する必要があります。
ビジネスカードには個人事業主用のカードもあれば法人(会社)が対象のカードもあリます。法人という名前のついているクレジットカードでも中には個人事業主でも作れるカードもあります。
ビジネスカードの特徴とおすすめのビジネスカードを紹介します。
ビジネスカードのメリット
屋号や法人名の銀行口座からの引き落としができる
個人名義のクレジットカードではクレジットカードの名義と引き落としの銀行口座の名義が完全に一致していないといけません。なので個人名義のクレジットカードではお店の名前や、会社の名前で作った銀行口座からの引き落としを設定することができません。
それに対して一般的なビジネスカード・法人カードに記載されている名前こそ個人の名義ですが(そのカードを使うのは名義の個人だけなので)、屋号(お店の名前)や会社名の銀行口座からの引き落としが設定できます。
複数枚のカードを発行できる
ビジネスカードといえども、お店内や会社内でクレジットカードをみんなで共有するということはできません。そのクレジットカードを使うことができるのは、あくまで名義の入った個人だけです。
ですが、ビジネスカードでは、複数枚のクレジットカードを発行することができます。従業員にも名義だけ違う同じクレジットカードを持たせることができるということです。
複数のクレジットカードを使っても、引き落とし銀行口座は同じ口座で、クレジットカードの利用明細もまとめて見ることができ、お金の流れがとっても分かりやすくなります。
ビジネスカードのデメリット
ビジネスカードのデメリットは、個人用のクレジットカードと比べるとポイント還元率が低いところです。
なので、個人事業主で小さな飲食店であれば無理にビジネスカードを作る必要は無いと思います。が、法人化しているならビジネスカードを作って、会計ソフトと連携させることで帳簿付け、確定申告がかなり楽になります。
ここで紹介しているビジネスカード・法人カードは、個人事業主でも法人でも作ることができるものを紹介しています。
三井住友カード for Owners
三井住友カード for Ownersは、クラシック(一般)、ゴールド、プラチナの3つのランクのあるビジネスカードです。
クラシック(一般)は、年間費が1350円とビジネスカードの中では作りやすい年会費設定になっています。
また、三井住友カード for Ownersでは、「会社設立間もないお客様でもお申し込み可能」としています。
対象 | 個人事業主 法人代表 |
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年会費 | 初年度無料(クラシック・ゴールド) クラシック1350円 ゴールド10800円 プラチナ54000円 |
追加カード | クラシック432円 ゴールド2160円 プラチナ5400円 |
ポイント還元率 | 0.5~1% |
ETCカード | 500円 初年度無料・前年一回の利用で年会費無料 |
アメリカン・エキスプレス ビジネスカード
アメリカン・エキスプレスのビジネスカードは、一般カードとしては年会費が13200円(税込)と高めですが、ビジネスに特化した様々なサービスの内容を見るとむしろ割安なくらい。
その年会費と付帯するサービスから、アメックスはどこで出しても恥ずかしくない抜群のステータスがあります。
対象 | 個人事業主 法人代表 |
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年会費 | 13200円 |
追加カード | 6600円 |
ポイント還元率 | 0.3~1% |
ETCカード | 550円 |
アメリカン・エキスプレス ビジネスゴールドカード
経営者が持つにふさわしいカード、アメックスのビジネスカードのゴールドです。
経営者にとってステータスはとても大事です。ステータスは見栄ではありません。ステータスを持つ人の周りには自然と同じステータスを持つ人が集まってきます。
年会費は3万円を超えますが、その金額に見合ったゴールドカードのサービスの充実っぷりは言うまでもありませんし、ビジネスカードの年会費は経費にすることができます。
アメックスのビジネスカードになくてビジネスゴールドカードに付いているサービスは、
キャンセルプロテクション(キャンセル費用を年間10万まで補償)
エアポート送迎サービス(空港までのタクシー定額送迎)
トラベルサービスがゴールドデスク(ビジネスカードは一般デスク)など
対象 | 個人事業主 法人代表 |
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年会費 | 34100円 |
追加カード | 13200円 |
ポイント還元率 | 0.5~1% |
ETCカード | 550円 |
飲食店へのクレジットカード決済の導入についてはこちらを参考にしてみてください。