飲食店の開業計画というとなんだか仰々しい感じがしますが、”自分がどんなお店を始めたいのか”を考えるということです。
飲食店を開業しようと考えている人は「こんな感じのお店をやりたいなー」というイメージがなんとなくできている人も多いと思います。
内装のことを考えたり、メニューを考えたり、BGMのことを考えたり、入り口のドアノブのことを考えたり、グラスの事を考えたり、照明のことを考えたり、お酒のことを考えたり、お店の立地のことを考えたり、お金のことを考えたり・・・・
それこそ、あっちこっちに頭の中が飛んでしまって、結局”あれ?なんかさっき、いい事思いついたような気がするんだけどな~”となってしまいがちです。
そのなんとなくのイメージを少しづつ形にするために私は飲食店の開業計画ノートを作りました。
もくじ
飲食店の開業計画ノートを作る
開業計画ようにノートを一冊作って、自分がやりたいお店について思いついたことを書いていきます。
矛盾したことでもかまいません。”あっ!これはいいアイデアだ!”とか”こんな感じのお店を始めたい!”とか飲食店を始めるのに役立ちそうなことを思いつくままに書いていきます。
この書き出すと言う作業は、私にとって、とても役に立ちました。自分が深く思い付いた所は深く、浅くしか思い付かなかった所は浅く、どんどん書き出していきます。
書き出して文字にすることで、自分が開業したい飲食店の形が、少しずつ頭の中で整理されてきます。
この時点では、「あれはできない、これはできない」という制約はとりあえず置いておいて、頭をやわらかくして、どんどん自分のやりたいお店のイメージを膨らましていきます。
自分のやりたい飲食店のイメージをめいっぱい広げてから、この先についても考えてみてください。
飲食店のコンセプトを考える
どんなお店にするの?がコンセプトです。
▶どんな料理をどんな風に出すの?(業種、業態)
▶どこで飲食店を始めるの?(場所)
▶誰に料理を提供するの?(ターゲット層)
▶どのくらいの規模のお店にするの?
▶どんな雰囲気のお店にするの?
▶どんな風に接客するの?
▶価格はいくらにするの?
最初から、細かいところまでイメージするのは難しいですが、お店の業種・業態、場所、ターゲット層などがある程度固まってくると、全体像が見えてきます。
飲食店の業種、業態を考える
ざっくり言うと「何屋さんを始めるのか?」ということです。
イタリア料理の修行をしたコックさんがイタリア料理のレストランをやるんや!であれば、業種はイタリアンで業態はレストランということになります。
業種というのはラーメンならラーメン屋、蕎麦なら蕎麦屋、鮨なら寿司屋といった具合に「何を売るのか」で決まります。
業態というのは、ファーストフード、レストラン、ファミレス、居酒屋、小料理屋、食事処、カフェ、バーといったお店の営業形態のことです。
この業種と業態を組み合わせていくことで、ある程度のお店のイメージが見えてきます。例えば売るものが同じイタリアンでも、高級レストランなのか、スパゲッティメインのファミリーレストランなのか、イタリアンベースの料理を出すカフェなのかで、全然違うお店になってきますよね。
料理人が飲食店を開業するなら自分がやってきた料理の延長上にある業種、業態を選ぶことが多いと思いますが、料理人を雇って飲食店を開業したり、アルバイトでもできるように調理工程をマニュアル化するのであれば、業種、業態は自由に考えられます。
やりたいお店のイメージがまだ漠然としているならこの業種、業態の組み合わせから考えてみるのも一つの方法です。
飲食店を開業する場所を考える
地元でとか、代官山でとか、港区の駅から歩ける範囲でとか、景色のいい田舎でとか、飲食店を開業する場所をどこにするかは、お店の業種、業態、コンセプトによって絞られる部分もあります。
とは言え、理想の場所はどんなところなのかをちょっと掘り下げて考えてみます。
「開業する場所」を「地域」と「立地」という2つの視点から見てみます。
「地域」は、先程の地元で、代官山で、港区で、田舎でといった、このあたりでお店をやりたいという範囲のことです。
もう一つの「立地」は、駅から徒歩何分か、人通りは多いか、大通り沿い、裏通り、1階、半地下、車で寄り易い、競合店が近くにあるかといった店舗の場所の条件とも言えるものです。
「立地」は店舗物件ありきの話ですが、ここをしっかりと押さえておくと、実際に店舗を決める時の判断基準になります。
お客さんのターゲット層を考える
「どんなお客さんに来てほしいか」というターゲット層は、飲食店の業種、業態、場所、コンセプトから大枠は決まってきます。
”サラリーマン”がターゲットなのか、”家族連れ”なのか”一人でも気楽に”なのか、というようなざっくりしたところからはじめて、
”IT系の会社に努めている32歳男性(年収600万)が会社帰りに同僚たちと飲んで食べてできる店。仕事の接待や打ち合わせでも使える店”
”子供も手がかからなくなり、旦那は会社勤めをしている40代50代の主婦同士がゆっくりランチができる店”
のようにより具体的に想定していきます。
自分のやりたいお店のメインのターゲット層を具体的に想定しておくことで、業種、業態、場所、内装、メニュー、価格なども決めやすくなります。
出来れば多くの人に気に入ってもらいたいものですが、すべての人にとって居心地のいいお店というのは存在しません。欲張ると、自分が来て欲しいと思っている層に逃げられてしまうことになりかねません。
自分のお店の”売り”を本気で考える
「うちは他とはここが違う!」という売り(競合優位)を考えます。
飲食店ですからメニューでの差別化でもいいです。ラーメン屋なら、おいしいラーメンを出すでもいいのですが、ただ漠然と美味しいラーメンよりは”まるごと一匹伊勢海老ラーメン”、”イベリコ豚のチャーシュー麺”のほうがお客さんに伝わりやすいです。
他店では食べられない料理や飲めないワインや焼酎というのは十分な売りになります。
メニュー以外でも、お店から見える景色が最高、店内の家具が全てアンティークで雰囲気が素敵、個室がある、駅から近い、朝までやっている、料理がすぐ食べられる、安い、、、などなど料理以外の立地や営業形態での競合優位も考えられます。
個人経営のちいさな飲食店では、企業がやっているような大それた内装や、企画というものは打ち出せないかもしれませんが、小さなお店には小さなお店なりの”売り”があると思うんです。
まだこれと言って・・・・という方は大きな売りでなくてもいいので、これは他には無いとか、ここは負けないという他店との競合優位を見つけてみてください。
ぶっちゃけ、”人柄”でもいいんですけどね。個人経営の飲食店の場合。
飲食店開業計画ノートからはじまる
飲食店開業計画ノートを作るのは、飲食店開業に向け、いろんなことをいろんな角度から考えて、じっくり時間をかけて”自分が本当にやりたいお店はどんなお店なのか?”を自分の中から掘り起こす作業です。
私の”飲食店開業計画ノート”には今見ると、笑っちゃうくらいたくさん無謀なことが書いてあります。
ぜひ、どんどん無謀なことでもいいので書いてください。
あれ?お金のことは考えないの?
これは一番気になるところですが、もう少し後で考えます。お金が余ってしょうがないという人は別ですが、普通はお金による制約をイヤでも受けることになります。その前に”こんなお店にしたい!”を優先してたくさんのイメージやアイデアを出しておきましょう。
この飲食店開業計画ノートから、あなたの飲食店が始まります。