飲食店の開業資金

 飲食店を開業するための資金は個人経営の小さな飲食店でも1000万円〜1500万円くらいかかると言われています。

 もちろん必要な開業資金は、飲食店をはじめる場所や、やり方によって大きく違ってきます。

必要な自己資金
 個人経営の小さな飲食店といえども、開業するためにはそれなりのお金がかかります。  飲食店を開業するのに資金はいくらくらい必要なのか、そのうち自分で用意するお金、自己資金

 開業資金、開店資金って何にどれくらいのお金がかかるの?

 開業資金として必要な費用を店舗物件取得費、内装工事費、厨房設備費、開業諸経費、運転資金、その他の費用に分けてそれぞれを見ていきます。



飲食店の店舗物件取得費

 飲食店に限らずですが、店舗が必要な業種で開業するときに掛かる開業資金でわりと大きな割合を占めるのが、店舗物件取得費(てんぽぶっけんしゅとくひ)です。

 店舗物件取得費とは、自分で部屋なり家なりを借りたことのある方はイメージしやすいと思いますが、部屋を借りるときに最初に不動産屋に払うお金の店舗バージョンです。

店舗物件取得費の例

 たとえばその店舗物件の家賃が10万円とするとかかる取得費はこんな感じになります。

【前家賃】家賃は基本的に次の月の分を先払いします。契約のときに、日割り家賃と来月分の前家賃が必要になります。
10万円
【日割り家賃】ある月の15日に契約した場合、約半月分の家賃を前家賃とは別に払います。
5万円
保証金】意味合いとしては敷金と同じです。店舗でも保証金でなく敷金礼金としている物件もあります。保証金の金額は物件によってまちまちですが相場は家賃の10ヶ月分。
100万円
不動産仲介手数料】不動産屋に払う手数料 家賃の1ヶ月分が相場
10万円
火災保険】お店の床面積や保証内容、保険会社によって金額は変わってきます。不動産屋によって任意加入のところと強制加入のところがあります。
3万円
家賃保証会社保証料第三者が連帯保証人となる家賃保証会社への料金で、近年は利用する不動産屋が増えています。金額の設定は様々です。
2万円〜家賃1ヶ月

 家賃10万円の店舗物件の取得費は合計で約130万円。これが家賃30万円の物件なら、約380万円になります。

 この他に居抜き物件では、造作譲渡費がかかる場合もあります。内装や調理器具、什器などがそのまま使えるのであれば、造作譲渡費を払っても、その分、内装工事費、厨房設備費が少なくなります。
造作譲渡費】居ぬき物件の場合、調理器具、什器などを譲り受けるのに掛かる費用

 物件によって保証金の設定の仕方や、火災保険、家賃保証会社の料金などは違ってくるので、実際には、選んだ店舗物件によって取得費にはかなり大きな差が出てきます。
それでも、家賃がこの位だと、このくらいは不動産屋に払うんだな~という見当をつけられると店舗物件を探す時の目安になります。



飲食店の内装工事費

 飲食店の内装工事費は開業資金の中でも店舗取得費と並んで金額の大きな費用です。

 飲食店の内装工事のひと坪あたり金額、坪単価は30万円とも40万円とも言われますし、20万円でできたという人もいます。内装工事の金額は、その店舗物件の形や状態、施工する内容によっても大きく違ってきます。結局のところ、内装工事の坪単価というのは結果として算出されるもので、20坪の店舗だから坪単価30万円で内装工事費は600万円というものではありません。

 そうは言っても、全く内装工事費にいくら掛かるのか見当もつかないのでは、店舗物件を選びようがありませんよね。なので、最初の目安として坪単価35万円くらいで想定してみて無理のない金額であれば、その後、数社の施工会社に予算をきちんと伝えて見積もりをとります。

居抜き物件の内装工事費

 上の坪単価は、全く内装設備のないスケルトンの状態の店舗物件での話です。内装工事と聞くと、床とか壁とかカウンターとかを想像してしまいますが、内装工事の中で一番お金がかかるのは電気、ガス、水道、空調といった配管などの設備です。

 居抜きの物件をそのまま使うのであれば、こういった配管などの設備工事をしなくて済むので内装工事費はかなり抑えられます。逆に居抜きの物件を借りて、内装をやり直すとなると古い内装の解体、撤去費用が発生したり、全てをやり直さなくてもちょっとガスや水道の場所を移すだけでも結構な金額になります。

居抜き店舗物件
 個人経営の小さな飲食店を開業する時に上手に活用したいのが居抜きの店舗物件です。  飲食店の店舗物件には大きく分けて、「スケルトン」と呼ばれる内装・設備が何もない状態



厨房設備費

 冷蔵庫や冷凍庫、ガス台、シンクといった厨房機器にかかる費用です。店舗取得費やスケルトンからの内装工事費ほどはかかりませんが、プロが使う厨房機器はそれなりの金額がします。

 料理のメニューが決まらないと必要な厨房設備が決まらないのですが、おおよその必要な厨房設備が決まれば、厨房機器屋のサイトを見ると大体の金額が分かります。

 個人経営の小さな飲食店では、限られたスペースに限られた予算で厨房設備を作らなければいけないので、中古の厨房機器を検討するのもおすすめです。

厨房設備・厨房機器の探し方1
 飲食店を開業するために必要な厨房機器、調理器具はたくさんあります。これから初めて自分でお店を始めるという方は、初めて厨房設備・厨房機器を選ぶことになると思いますので、業務

飲食店の開業諸経費

 これまでの店舗物件取得費、内装工事費、厨房設備費と比べるとひとつひとつの金額は大きくはないですが、必要な費用はしっかりとおさておきたいです。
 飲食店を開業するのに意外と必要な備品は多いです。

 【家具・什器】 テーブルや椅子、棚、レジ、鏡、間接照明など
 【厨房の備品】 まな板や包丁、鍋やフライパン、バット、ボール、レードル、温度計、秤など
 【その他の備品】 メニューブックや、オーダー伝票、領収書、文房具、掃除用具、ユニフォームなど
 【仕入れ代】 メニュー開発やオープンに向けて必要な食材の仕入れ代 小さな個人経営の飲食店の場合、最初は掛け(後でお金を払うという約束で品物を受け取ること)で買えず、その都度現金で支払う場合も
 【宣伝広告費】 案内状やショップカード、チラシなどペーパーアイテムの作成 ポスティングや新聞折込、フリーペーパー、ネットなどへの広告掲載費

飲食店の運転資金

 運転資金はお店が軌道に乗るまでの家賃や水道光熱費、仕入れ代、人件費などをまかなうお金です。できれば半年分くらいの運転資金を用意しておきたいところです。開店してからひと月くらいは友人やら関係者やらで賑わいますが、その後、安定して売り上げが出るようになるまで時間がかかります。

 軌道に乗る前に資金が底をついてしまうというのが飲食店の一番の廃業の原因です。甘い見通しをせず、しっかり運転資金も含めた開業資金を融資してもらいます。

その他の費用

 その他の費用は不測の事態に備える予備費当面の生活費です。

 不測の事態ではありませんが、私は飲食店を開業した場所が、住んでいた所から離れていたので、自分達の自宅の引っ越し代もかかりました。

 自分で飲食店を開業すると、お給料はもらえません。なのでお店が軌道に乗るまでは自分の取り分がないかもしれません。お店の家賃、水道光熱費、仕入れ代、人件費などの他に、自分が賃貸で生活しているならその家賃、水道光熱費などの当面の生活費も用意しておかないと、お店のための運転資金がどんどん減ってしまいます。

 
 飲食店を開業するためには、結構色んなお金がかかります。そして開業してからも毎月毎月色んな費用がかかります。

 店舗物件取得費や内装工事費、厨房機器、店内の家具や什器やその他の備品といった実質開業するために必要な資金だけでなく、しばらくの資金繰りができるだけの運転資金、当面の生活費、不測の事態に備えた対応資金まで考えて資金調達にのぞみたいところです。