飲食店にとってどの店舗物件で開業するかはとても大事です。店舗物件の立地や賃料は経営に大きく影響しますし、一度決めたらそうそう変えることができません。それだけに店舗物件選びは慎重にすすめたいです。

 そのための飲食店の店舗物件の探し方から、見方、選び方までをまとめました。



飲食店の店舗物件の探し方

 飲食店の店舗を探すには、お店を始める地域の不動産屋に足を運ぶか、インターネットで探すことになります。

地域の不動産屋で店舗物件を探す

 出店する地域が決まっていたり、候補の地域があるなら、その地域の不動産屋に行ってどんどん店舗物件を見ます。不動産屋を直接訪ねるとインターネットに出ていない店舗物件が意外とあります。たくさんの店舗の図面を見て、たくさんの店舗物件を内見(実際に中を見せてもらうこと)することで、その地域の家賃相場も分かってきます。

 広さはこれくらいで、家賃はこれくらいというような条件を思い描いて店舗物件探しに行くと思いますが、なかなかその条件に合う店舗物件が見つからないことも多いと思います。
 それでも、たくさんの店舗物件を見に行くうちに、自分の中であいまいだった条件がはっきりしてきて”譲れないこと”、”譲れること”がだんだん分かって、更にシビアな目で店舗物件を見られるようになります。また地元に根づいている不動産屋さんと話すことで、その地域の特徴や飲食店事情なども知ることができます。

 都市部では大きな企業や実績のある法人が飲食店を開業することが多いので、都市部の不動産屋では個人はなかなか相手にしてもらえないこともあります。それでも諦めず、粘り強く何軒もの不動産屋を廻れば、親身に相談に乗ってくれる人が見つかるはずです。

インターネットで店舗物件を探す

店舗物件ネットで探す

 インターネットで店舗物件を探す便利なサイトをいくつか紹介します。店舗物件は意外と早く動いているので(とくに都市部では)、気になる店舗物件を見つけたら、すぐに問い合わせて見に行きます。実際に店舗物件を見に行かないと分からないことがたくさんあります。

アットホーム 貸店舗プラス
リンク先では東京都での店舗物件検索になっています。他県の店舗物件を探すには下の方の当道府県一覧から選択します。

飲食店.COM 首都圏版
飲食店.COM 関西版
会員登録すると店舗物件の詳細情報を見ることができる

居抜き物件専門サイト ぶけなび 関東版
居抜き物件専門サイト ぶけなび 東海版
居抜き物件専門サイト ぶけなび 関西版



飲食店の店舗物件の見方

  個人経営の小さな飲食店にとってのいい店舗物件というのは人それぞれですが、「店舗物件がお店のコンセプトに合っているか」「その店舗物件でちゃんと儲けが出るのか」の二つはしっかりと見極めます。

飲食店不可の店舗物件

 店舗物件=飲食店の店舗物件ではありません。店舗には飲食店の他にも、美容室や床屋、エステや整体院、雑貨屋などの物販など色んな店舗があります。匂いや騒音、厨房の汚れなどの理由から飲食店不可の店舗物件は意外と多いです。飲食可と書いてあっても、軽飲食(喫茶店、カフェ)のみの場合もあります。

 まずは自分が開業したい飲食店ができる店舗物件かのチェックから。

店舗物件の立地

 飲食店にとって一般的に良いとされている立地条件の店舗物件は家賃が高額だったり、お店のコンセプトと合わなかったりと必ずしも個人経営の小さな飲食店にとって好条件というわけではありません。

 田舎の分かりにくい場所にあるレストランや、雑居ビルの5階の一室にあるバーでも繁盛している個人のお店はたくさんあります。お店のコンセプトをお客さんに気に入ってもらえれば、インターネットでも集客できることを考えると、昔ほど立地にこだわる必要はなくなったとも言えます。

 そうは言っても、飲食店の立地は悪いより、良いに越したことはありません。なので、あくまで一般論ですが飲食店にとって良い立地条件と言われていることをあげます。

  • 人口が多い、もしくは最寄りの駅の乗降車数が多い
  • 人通り、車の交通量が多い
  • 路面店(道路に面した一階の店舗)
  • 視認性が良く、見つけてもらいやすい
  • 駅、大型商業施設、大学、観光地、オフィス街、大きな工場など多くの人が集まる場所から近い
  • 駐車場が分かりやすくて、入りやすい
  • 競合店の状況が良い

競合店とは

 競合店とは、読んで字のごとく競い合うお店のことです。自分がこれから開業しようとしている飲食店のライバルになるお店のことです。
 1000円以下でランチをやっているお店なら、ラーメン屋と定食屋と蕎麦屋、イタリアン、喫茶店などみんな競合店になります。さらに全く業態の違うファーストフードやお弁当屋、コンビニまでもが競合店になりえます。逆にミシュランの星付きのお鮨屋さんと回転寿司は同じ鮨でも競合しません。

 同じくらいの価格帯の同じ業種のお店がたくさんある地域では、競合店が多いので新規の開業は厳しい立地という見方がある一方で、競合店に勝てるセールスポイントがあれば、逆に良い立地という見方もできます。ラーメン屋の激戦区とか焼肉屋がひしめき合う地域がありますが、そういうところに出店すれば、ライバルもたくさんいますが、ラーメンなり焼き肉なりを目指して来るお客さんが集まって来る場所とも言えます。

 飲食店を開業する前に、候補地周辺の競合店になりそうなお店のチェックはもちろん必要ですが、個人経営の小さな飲食店ではあまり意識しすぎず、目の前のお客さんのハートをグッと掴むことに重点をおくほうがいいかもしれません。

店舗物件の広さ

 店舗物件の広さ、面積は家賃と同じくらい気になる条件です。飲食店に必要な面積はお店の業種や規模によっても違います。

 飲食店の業種にもよりますが、一般的に店舗物件の総面積(トイレやキッチンを含めた)に対して1坪(3.3㎡)で1.5席の客席です。ゆったりとした客席にしたければ一坪当たり1席に近づけ、たくさん客席を作りたければ一坪当たり2席に近づけます。20坪(66㎡)の店舗物件であれば、20席でゆったり、30席で標準、40席できちきちの客席を作ることができます。

 店舗物件の面積が広くなってもトイレやキッチンの広さはそう変わらないので、広い店舗になればなるほど坪当たりの席数は大きくなりますし、店舗の形や柱の関係で思ったより席数が取れないこともありますが、店舗物件の広さを決める1つの基準です。

店舗物件の広さの単位

 不動産屋やネットで店舗物件の図面を見ていると、平米(㎡)で書いているものと坪数で書いているものがあります。

 1平米は1m×1m=1㎡
 1坪は1.8m×1.8m=3.3㎡(たたみ2畳分)

 平米を坪に変換するには平米数を3.3で割ります。坪数を平米に変換するには坪数に3.3を掛けます。希望する店舗別件の面積を50~60㎡=約15~18坪というようにどちらの単位でも分かるようにしておくと店舗物件が見やすくなります。

店舗物件の賃料

賃料

 店舗物件の立地も広さもすごくいい、でも家賃はちょっと高め。その賃料でやっていけるのか?を考える時の目安です。一般的に売上の10%が家賃の目安とか、3日で家賃分を売り上げれば大丈夫とか言われますが、営業日を30日とするとどちらも同じ意味です。

売上から考える店舗物件の賃料

 営業日を月25日として、想定した客単価と来客数から店舗物件の家賃が適正かを考えます。

ランチ  客単価1300円 × 来客数20人 = 26000円
ディナー 客単価3500円 × 来客数15人 = 52500円

一日の売上(26000円+52500円)  × 営業日数25日 = 1962500円

売上の10% 1962500円 × 10% = 196250円

19万6250円以下の家賃であれば検討する価値のある店舗物件と言えます。

敷金、保証金、礼金、共益費、更新料、仲介手数料

 飲食店の店舗物件を借りるには賃料以外にも色々とお金がかかります。敷金、保証金、礼金、更新料、仲介手数料などそれぞれの意味を理解しておきましょう。

敷金と保証金】 敷金と保証金の意味の違いは厳密にはあるのですが、ほぼ同じと考えていいもので、不動産屋に預けるお金です。お店を辞めて出ていくときに、原状復帰にかかる費用が差し引かれます。スケルトンの店舗物件を借りた場合、スケルトンにして返却することになっている場合も多いので、内装の解体、処理費用もかかることも頭に置いておきましょう。契約の時に敷引や保証金償却と決められている分は原状復帰とは別に預けた分から差し引かれることも。店舗物件のオーナーや管理会社(不動産屋)によって細かい違いが多いところなので、契約する前にきちんと確認しておきたいところです。

礼金】  礼金は”この店舗物件を貸してくれてありがとう”と感謝の気持ちを込めて支払うお金のことで、いっさい戻ってきません。礼金無しの店舗物件が多いですが、今だに1,2ヶ月分の礼金を設定していある物件も少なからずあります。

共益費、管理費 】 共益費、管理費は共有スペースや建物そのものの管理や維持にかかる費用のことです。共有スペースの電球や電気代、水道代、清掃費用、エレベーターの電気代、点検費用、ゴミ捨て場の清掃管理費用などに使われる費用。

仲介手数料】  仲介手数料は不動産屋に支払う手数料のことです。店舗物件の一ヶ月分の賃料であることが多い。

更新料】  店舗物件を契約する時に契約期間(2年または3年が多い)があります。契約期間が終わり、更新する時に支払うお金です。「新賃料一ヶ月分」などと決められています。
 
 実際に店舗物件の契約をする時にかかる費用についてはこちらを参照してください。

飲食店の開業資金
 飲食店を開業するための資金は個人経営の小さな飲食店でも1000万円〜1500万円くらいかかると言われています。 もちろん必要な開業資金は、飲食店をはじめる場所や、

店舗物件の駐車場

 都市部の店舗物件ではあまり気にすることのない駐車場ですが、郊外の店舗物件では、駐車場は大事な要素になります。飲食店はお客さんが来る時間帯が集中しているので、お店の客席数に見合った広さの駐車場が必要です。
 他にも、駐車場の場所が分かりやすい、道路から駐車場に入りやすい、駐車場に車を止めやすい、駐車場からお店までが近いということもお店の魅力の一つです。お客さんが女性メインの飲食店なら駐車場にはとくに気を配りたいところです。

店舗物件選び、その他気をつけたいこと

 店舗物件選びで、立地や賃料、広さなどの他にも気をつけたいこと。

電気の容量  店舗物件の電気の容量が足りないと、あとあと容量を増やす工事で大きな出費になりかねません。内装施工業者などの専門家に必要十分な電気容量かどうかを確認しておきます。

ガスの種類 店舗物件のガスの種類には都市ガスLPガス(プロパンガス)があります。都市ガスは、13種類ほどの種類があり「13A」「12A」が主流となっています。業務用のガステーブル、ガスオーブンも、都市ガス(13A,12A)用 とLPガス(プロパンガス)用があるので、借りる店舗物件のガスの種類にも気をつけたい。

看板の設置費 ビルイン(雑居ビルの中などにある)の店舗に多いですが、ビルの外の電気で光る看板やビル内の案内板、エレベーターの中などにお店の看板を設置する費用がかかる店舗物件もあります。

 居抜きの店舗物件についてはこちらに書いています。

居抜き店舗物件
 個人経営の小さな飲食店を開業する時に上手に活用したいのが居抜きの店舗物件です。 飲食店の店舗物件には大きく分けて、「スケルトン」と呼ばれる内装・設備が何もない状態